遺言書を書きたいとき

1.そもそも、遺言は書くべきか?
大切な人が亡くなった時、では遺産分割協議書のご紹介をしました。
結構面倒だなと感じた方もいらっしゃると思います。
協議は家族の関係が良好であればまとまりますが、問題は家族仲が悪い場合です。
遺産の分配をめぐって争いが起こる可能性が大きいです。
協議がまとまらない場合は、遺産分割調停、最終的には訴訟へ発展します。
自分が遺した財産で、自分の家族が争うのは避けたいですね。
自分の想いを生前に残す方法として「遺言」があります。
当事務所では可能な限り、遺言を書くことをお勧めしています。
2.どうやって書くのか?
遺言には法的には3種類ありますが、一般的によく使われる方法は2つです。
1.自筆証書遺言
文字通り、自分で書く遺言です。思い立った日に、傍らにあるペンと便箋で想いを残すことができます。
しかし、遺言の書き方というのはかなり厳格に法律で定められています。
「想いが伝わるからYouTubeを使って動画で残そう」、気持ちはわかりますが法律的に無効です。
「自分は字が下手だからパソコン(たとえばWord)で作って残そう」、これも無効です。
「今日は大安吉日か。縁起がいいから日付も大安吉日にしておこう」、ダメです。
「本名ではなくて、ペンネームにしておこう」、これは有効になる場合があります。
いろいろな決まりがあります。なにがOKでなにがダメか、わからないまま遺言を残して、いざ自分の死後に自分が書いた遺言が「無効でした」では成仏できません。
※2020年7月10日より遺言書保管制度が始まり、自筆証書遺言が使いやすくなりました。詳しくはこちら
2.公正証書で遺言をのこす(遺言公正証書)
前述のように、自筆の遺言は無効になるリスクが少なからずあります。また、仮に有効な遺言であったとしても、遺言に基づいて手続きをするためには「検認」という手続きを家庭裁判所に申し立てる必要があります(つまり、亡くなった後すぐには遺言の内容を実現できない)。
より確実な方法が「遺言公正証書」です。
公正証書という言葉はお聞きになったことがあると思います。
カンタンに言うと「公証人のお墨付きをもらった遺言」ということです。
3.遺言公正証書の作り方
いきなり公証役場に足を運んでもそれはそれでOKです、が時間がかかりますし、何より、ぶっつけ本番のような感じになってしまいます。
遺言を残そう、と思ったときは我々司法書士に相談してください。
遺したい財産、誰に遺したいのかを十分にお聞きしたのち、文案を作成します。
文案をご覧になっていただき、修正点をうかがいながら、内容を徐々に完成させていきます。
「内容はこれで問題ない」となれば、公証役場と都合のよい日時を調整して、一緒に足を運びます。
事前に完成文を送っており、公証人のほうも準備してますので、当日はその完成文を公証人が読み上げ、内容に間違いがなければ、署名と実印による押印をいただいて終了です。
4.いくらかかるのか?
報酬は「司法書士の報酬」+「公証人の報酬」、の2本立てになります。
財産の多い少ない、その金額の多寡により一概には言えませんが、経験上、司法書士報酬が7万~9万円、公証人の報酬も同じくらいでしょうか。合わせて15万円から20万円くらいの方が多いような気がします。
遺言をお考えのかたはお気軽にお問合せください。